こくう物語

山の町の街道沿いの小さな宿屋、そこに住む平吉と姉のかれん、おたえおばさん、祖父、長期滞在客の九茂右衛門の織りなす物語。

オートバイ少女

海までつづく道をひた走るオートバイ。思春期の少女の瑞々しい躍動感を描く表題作ほか、彷徨の果ての寄る辺ない青年の生を描く。69年のデビュー以来の代表作とエッセイを集めた作品集。

マッチ一本の話

ハーモニカの好きな少年が、やはりハーモニカが好きな少年を探し求めて海辺から山間の村へ出かける。その過程で一人の少女と出会い、きわめてストイックな恋をし、やがて大人へと成長していく。

赤色エレジー

マンガ家を目指しながらも上手くいかない一郎と、そんな一郎を愛し支える幸子。二人は共にしがないアニメーターとして仕事をしながら、どうにか日々を暮らしている。この二人のなんとも刹那的で行き場のない同棲生活とその破綻を、独特の前衛的なタッチで描いた、マンガ史に残る名作。

地獄を見た男

妻が頭痛で寝込んだため、娘のよし子を残し長男の一郎を連れて会社に向かった男。途中で一郎とはぐれ、会社では麻雀と道路上の競艇に興じていた。家では妻がよし子を折檻死させ、やっと会社に顔を出した一郎は、エレベーターのボタンを押し間違えて、男を一番下にある地獄へと陥としてしまう。日常に潜む(?)阿鼻叫喚の不条理漫画。

私は何も考えない

あなたはもしかして会社で目立とうとか人と違った事をやってやろうとか思ってはいないでしょうか?みんなが背広を着ているのにインド人みたいにサリーを着て来たり、昼食にみんなラーメンを取って食べているのに小僧寿司のパーティを買ってきたり…サラリーマン必読(?)の「サラリーマン教室」、現代の生活にいかに人々が退屈しているかということを鋭く描いた「密室殺人事件」等収録した蛭子能収の傑作短編集!

私はバカになりたい

道路でわけのわからない虫が多数動き回る街で、レポーターは吐き気を催しつつ、道端でうんこをする少女にインタビューをする。「知識人のレポート」今日中に一軒はペンキを塗らないと我社は倒産だ。しかし、岡本塗装の奴らはセールスが上手く、家と家の隙間の家までもう塗ってある。倒産したら妻と子供をどうやって食わしていけばいいんだ!「ペニスに死す」他、蛭子能収の芸術的短編集!

カムイ伝

幕府による厳しい身分制度がしかれていた江戸時代。その寛永年間(1624~1634年)末の日置藩七万石領内。厳しい差別を受けていた人々の集落は、夙谷(しゅくだに)という地域にあった。その夙谷に生まれたカムイは、このような社会の中で“生きる誇りと自由”を得るためには、自分が強くなる以外に方法はないという信念を持つ。そんなカムイがふとしたことで知り合いとなった少年の正助。貧しい農民の子として生まれた彼も、カムイほどではないにしても恵まれない境遇にあったが、いつかは現在の境遇から抜け出して自分の家や田が持てる立場になりたいと願っていた。ある日、カムイの母親が重い病にかかるが、夙谷の病人ということで町の医者から診察を拒否される。自分の母親が、ろくな手当ても受けずに死んでしまったことで、言いようのない怒りを感じたカムイは、その怒りを森で出会ったイノシシと戦うことで晴らそうとする。しかし、逆にカムイは傷ついて意識を失ってしまうが、偶然、通りかかった正助により助けられる。一方、日置藩では新しい蔵方役による不正な年貢の取り立てが、問題となっていた……。

彩雪に舞う…

季節は夏。外では同じ年頃の子どもたちが元気に遊び回っているが、左衛門は布団のなかでその声を聞くことしかできない。友だちといっては庭の木に止まりにくる鳥たちくらいのものだ。なぜなら腫瘍が腹にでき熱病に冒されていたからだった。家の者たちはもはや左衛門が永くないことを知っている。猛暑の影響もあり、日増しに容態は悪化していく。やがて季節は移ろい、夏は終わり、秋が過ぎ、冬が近づく。鳥たちの姿は一羽また一羽と見えなくなっていく。最後の一羽が、もはや死の近い左衛門を見かねて「空に舞うひけつ」を教えた……。