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一角獣種の少女アデラド・リーは、ある装置の中で目覚めると「あなたはクローン体だ」と言い渡される。オリジナルのアデラドは3年前にプロキシマの第5惑星の開発計画に携わるスタッフとして現地に旅立ったが、つい1か月ほど前に不幸な事故に見舞われ、19才で命を落としたという。しかし今のアデラドは16才、つまり派遣される直前の記憶を持ったクローンなのである。宇宙開発においては、危険な辺境の惑星に赴くときは記憶の保存とクローンの作成が義務付けられていたのだ。しかし再生されたアデラドにとっては、そうした話を聞かされても実感が乏しかった。彼女にすればプロキシマ第5惑星はまだ見ぬ新天地でしかなく、自分はその開発に従事するために準備を整えてきた記憶しかなかったからだ。だから彼女は迷わず現場への復帰を希望した。しかし現地で作業を進める他のスタッフたちはまったく違う気持ちで彼女のことを待ち受けていた。彼らからすればアデラドは3年間の苦楽を共有してきた友人であったからだ。なかでもレグ・ボーンはアデラドの帰還に複雑な思いを持っていた。なぜなら彼はアデラドの恋人だった。自分は死の悲しみを忘れることができないのに、恋人はよみがえった上に3年前まで時間が巻き戻り、自分のことを知りもしない。レグは16才のアデラドをすなおに受け入れることができなかった。惑星に到着したアデラドは徐々に受け入れられ、やがてレグの心も開いていく。再び動き出した恋人たちの時間だったが・・・。