白木蓮抄

5歳のりよは、母が病気療養のため、親戚の宮谷の家へとやってきた。 ある日、家の中が騒がしくなり、りよは外に遊びにやらされた。 ピアノの音に誘われて迷い込んだのは、白い花の下、白馬が繋がれた洋館だった。 館から出てきた金髪の青年は、りよを白馬に乗せてくれる。 この館を建てた人物の友人だというその青年は、国に帰って戦争に行くのだといった。 生まれて初めて人との悲しい別れを経験して家に帰ったりよを待っていたのは、もうひとつの別れ、母の死だった。 翌年の12月、日本も戦争に入り、りよの父は出征し、もどらなかった。