爆麗音

あるとき、ふとしたことがキッカケで、“印南烈”という青年と出会う。彼の“義指”から放たれる美しい音色、そして激しいジャズ――。そしてあるできごとを機にベーシストが降りてしまい、烈は一人で演奏を続けることとなる。歩夢はその代わりを勝手に務める。自分が仲間内からつまはじきにされて、一人で演奏することのつらさを知っていたから。ラフマニノフの“Op 36.ピアノソナタ二番変ロ単調”、ワーグナーの“炎の音楽”、リストの“調性の無いバイガル”――此処まで来て、烈はペースを一気に上げ、“ミカゾノのピアノソナタ零”を弾き始める。その曲の壮絶さに歩夢がついていけないと思ったそのとき演奏は打ち切られ、観客からは盛大な拍手が送られた。 歩夢の夢が、才能が、いま、花開こうとする―――。