彩雪に舞う…

季節は夏。外では同じ年頃の子どもたちが元気に遊び回っているが、左衛門は布団のなかでその声を聞くことしかできない。友だちといっては庭の木に止まりにくる鳥たちくらいのものだ。なぜなら腫瘍が腹にでき熱病に冒されていたからだった。家の者たちはもはや左衛門が永くないことを知っている。猛暑の影響もあり、日増しに容態は悪化していく。やがて季節は移ろい、夏は終わり、秋が過ぎ、冬が近づく。鳥たちの姿は一羽また一羽と見えなくなっていく。最後の一羽が、もはや死の近い左衛門を見かねて「空に舞うひけつ」を教えた……。