ゲンセンカン主人 [つげ義春コレクション ねじ式/夜が掴む所収]

あるさびれた温泉街に、一人の男が湯治にやって来ます。小さな町は陰気で、何故かお年寄りしかいない。昔懐かしい駄菓子屋の店先でお婆ちゃんが飴をしゃぶりつつ店番をしている。どこか疲れたような主人公は駄菓子屋で天狗のお面を買いもとめ、店番の老婆にこんな言葉をかけられる。「おや、あんたはゲンセンカンの主人によく似ているね」ゲンセンカンとは町にある温泉宿のひとつで、どうやら最近、よそから流れてきた男が主人になったよう。自分は違う。でも興味を覚えた主人公は、ならばそのゲンセンカンに泊まろうと思い立つ。