やなぎ屋主人 [つげ義春コレクション 紅い花/やなぎ屋主人所収]

主人公の青年は、ある晩、ヌードスタジオの階下で掛かっていたレコード「網走番外地」の歌を聴き、衝動的に海が見たくなり房総半島への列車に乗る。直前まで主人公は自分がだめになりそうな強い不安感にとらわれ、捨て鉢な気分になって新宿のヌードスタジオに通いつめていたのであった。だが、なじみになったヌードスタジオの女にも暗い過去があり、将来の展望もないのだった。青年は新宿駅から内房線に乗り、N浦駅で降り立ったものの、すでに夜も遅く、付近には宿屋もない。親切な駅員の紹介で、駅近くの大衆食堂「やなぎ屋」に泊めてもらう事になる。やなぎ屋は、年配の母とすでに成人した娘の2人暮らしであった。